人が死亡すると残された人々は、まず死亡届を市町村役場に提出し、葬儀の手続きに入ることになります。葬儀の手続きや大切な人を亡くされたという思いから何も手が付けられないという状態になってしまうとは思いますが、時間が経ってしまうと様々な問題が発生する可能性がありますので、亡くなった方に遺言があるかどうかの確認だけはする必要があります。
相続の手続きにおいて最も優先されるのは亡くなられた人(被相続人といいます)の意思です。その意思を具体的に表現したものが遺言ということになります。
遺言があった場合、遺言執行者によってその内容どおりに財産が分配され、残った財産があれば、本来もらう権利のある人(法定相続人といいます)に分配されることになります。
ただ、遺言の内容があまりに不公平であった場合には民法の規定により、本来もらう権利のある人にある程度の財産(遺留分)が分配されるように請求することができます。
相続に関する法的な手続きにおいては、まず最初に遺言書の有無を確認しましょう。
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■ 遺言書の有無の確認
遺言書がある場合には勝手にその遺言書を開封してはいけません。
遺言書の形式によっては家庭裁判所で開封の手続き(検認といいます)を行わないといけない場合があります。
勝手に遺言書を開封してしまった場合には相続人としての権利を失う可能性がありますので注意する必要があるでしょう。
遺言書がどのような外観を持っているかによって以下のように対応が変わります。

公正証書遺言謄本と記載してある封筒がある場合
この場合の遺言書を公正証書遺言といい、公証役場というところで被相続人が生前遺言書を作成していたということになります。
公正証書遺言は2通作成され、1通(謄本)は被相続人が所持し、1通(原本)は公証役場で保管されることになります。この場合は公証役場に遺言書の原本がありますので取りに行きましょう。公証役場で原本を受け取った場合には、その場で内容を確認してもかまいません。
上記以外の場合
それ以外の場合は、そのままの状態で家庭裁判所に遺言書を持っていかなければなりません。この場合、家庭裁判所で開封の手続き(検認といいます)をすることになります。
なお、相続人全員が揃っている席であっても勝手に開封することはできません。勝手に遺言書を開封してしまった場合には相続人としての権利を失うこともありますので注意してください。
家庭裁判所での手続き
遺言書検認申立書(家庭裁判所に備え付け用紙があります)に記載事項を記入し、申立て人の戸籍謄本、亡くなられた人の除籍謄本と一緒に家庭裁判所に提出することになります。
その後、家庭裁判所より検認期日の通知がきますので、検認期日に家庭裁判所へ行き遺言書の検認調書を作成してもらいます。
なお、家庭裁判所で検認の手続きを受けたとしても遺言書が法律に適合した内容でないと、法律的な効果は生じないことになります。たとえ裁判官の前で開封したとしても、それはあくまで開封の手続き(検認)であり、次の内容の確認をしてはじめて有効かどうかが判断できることになります。

■ 遺言書の内容の確認
公正証書遺言の場合は、遺言の作成に法的知識のある公証人が関わっていますので必ず有効ということになりますので、遺言の内容どおりに相続の手続きを進めていくことになります。
それ以外の遺言書の場合は開封した内容が法律に適していない場合は、その遺言書自体が無効ということになります。遺言書が有効であるかどうかの判断は以下の箇所を確認してください。

遺言書が有効であるかどうかの判断
遺言をした本人の自筆によること
ワープロや他人の手によって書かれた遺言書は無効になります。
なお、公正証書遺言の場合は、自筆でなくとも有効になります。
遺言書を作成した日が記載されていること
日付がない場合や平成○年○月吉日などの記載の場合は無効になります。
印鑑が押されていること
印鑑は押してあれば認印であっても有効になります。
遺言書の文中で訂正した箇所がある場合には、捨て印が押されていること
この場合は遺言書自体が無効になるわけではありませんが、訂正された文字数、加入した文字数が書かれてないと、訂正が無効になります。
例 ○字削除○字加入

■ 遺言の執行
遺言書の内容が有効であることが確認できたら、遺言の内容を実行していくことになります。遺言の内容を実行する者を遺言執行者といいますが、一般的には遺言書の中で誰が遺言執行者になるか決められています。
もし、遺言書の中で遺言執行者が決められていない場合、相続人の方で遺言執行者を決めなければなりません。その場合には、家庭裁判所に申し立てることになり、家庭裁判所で遺言執行者として問題がないとされれば選任されることになります。遺言執行者になるための特別な資格は必要ありませんが、通常の場合には中立的な立場にいて専門的な知識を持つ司法書士、弁護士、税理士などの専門家に依頼することが多いでしょう。
遺言執行者が選任されると遺言書の内容に従って相続財産の調査、財産目録の作成、相続財産の交付の順に手続きが行われることになります。
なお、遺言の執行が終わった時点で、被相続人の財産が他にも残っている場合には次のページ以降の手続きに進むことになります。
■ 遺留分について
遺言書は前述のとおり、亡くなられた人の意思を示すものであり、相続の手続きにおいて最も優先するべきものですが、本来財産をもらうべき配偶者や子などの今後の生活などを考慮し、亡くなられた人の財産を愛人にすべてを与えるなどといった内容の遺言があったとしても、ある程度の相続財産の分配を請求できる権利を民法では規定しています。この権利のことを遺留分といいます。
なお、遺留分については財産をもらう権利のある人の確定(法定相続人の確定)と非常に密接な関係がありますので、次のページで解説していくことにします。