相続財産の名義の変更も終了し、相続の手続きも終わりに近づいてきましたが、最後に相続税の申告という大きな手続きが残っています。
この相続税の申告が終われば相続に関するすべての手続きは終了することになります。
相続税の申告は被相続人の財産を相続するすべての方がしなくてはならないものではありませんが、相続税の申告をする必要がある場合は相続開始から10ヶ月以内に申告をしなければなりませんので、相続財産の名義変更が終了しても油断せずに速やかに手続きを行いましょう。
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■ 相続税の申告
相続税の申告をしなければならない場合
相続財産の調査のページで解説した相続税の課税価格の合計が基礎控除額(5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)を超える場合には相続税の申告をしなければなりません。
なお、相続税の申告は相続開始から10ヶ月以内に被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署に申告書を提出しなければなりません。

申告書の提出
税務署には全部で15種類の書類(全て税務署で交付を受けることができます。)を提出することになります。
このうちの1つが申告書になりますので、残りの14種類が添付書類ということになります。これらの手続きをご自分ですることも可能だとは思いますが、ケースによって添付書類や用意していただく書類が違ってくる場合もあります。
ある程度以上の相続税を支払わなければならない場合には税理士事務所などの専門家に相談されることをお勧めいたします。

具体的な書類は以下のとおりになります。
 @ 相続税の申告書
 A 相続税の総額の計算書
 B 農業相続人がいる場合の計算書

 C 贈与税額控除額の計算書
 D 配偶者の税額軽減額の計算書
 E 未成年者控除・障害者控除額の計算書
 F 数次相続控除額の計算書
 G 外国税額控除額・納税猶予税額の計算書

 H 生命保険金などの明細書
 I 退職手当金などの明細書

 J 課税財産の明細書  
   付表1 小規模宅地等に係る課税価格の計算明細書
   付表2 特定事業用資産にかかる課税価格の計算明細書
   付表3 特定同族会社株式等の判定明細書
 
K 納税猶予の適用を受ける特例農地等の明細書
 L 債務及び葬式費用の明細書
 M 寄付・信託した相続財産の明細書
 N 相続財産の種類別価額表

以上の書類を次の記載順序に従って記入していきましょう。

1.H、I、Jの付表1、2、3
  H生命保険金などの明細書
   相続財産の中に生命保険金(みなし相続財産)がある場合に記入します。
  I退職手当金などの明細書
   相続財産の中に死亡退職金(みなし相続財産)がある場合に記入します。
  Jの付表1〜3
   相続財産の中に小規模宅地の特例を受ける不動産、国の保護を受けているような森林、株式などがある場合に記入します。
  
2.J、K、L、M、N
  J課税財産の明細書
    遺産分割が行われたかどうか、相続税のかかる財産とその価格を記入します。
  K納税猶予の適用を受ける特例農地等の明細書
   相続人の中に農業を営む者がいる場合に必要になります。
  L債務および葬式費用の明細書
   被相続人が債務を負っていた場合には債務金額を記入し、葬式費用がある場合にはその金額を記入します。
  M相続開始前3年以内に贈与された財産等の明細書
   相続人が被相続人が死亡する前3年以内に贈与を受けていた場合にはその財産を記入します。また被相続人の財産を公益法人等に寄付している場合にはその財産を記入します。    
  N相続財産の種類別価額表
   Jで記入した相続財産の種別を記入します。
  
3.@、A、B 
  @相続税の申告書
   課税価格の計算、各相続人の算出税額の計算、各相続人の納付税額の計算の順に記入します。
  A相続税の総額の計算書
   相続人、法定相続分の割合、課税価格の合計額や相続税の総額を記入します。
  B農業相続人がいる場合の計算書
   相続人の中に農業を営む相続人がいる場合記入します。

4.C、D、E、F、G
C贈与税額控除額の計算書
  被相続人の死亡前3年以内に贈与されて財産について支払った贈与税の額を記入します。
  D配偶者の税額軽減額の計算書
  配偶者が法定相続分で相続する場合相続税がかかりませんが(税額軽減の特例)、その適用を受ける場合は記入します。
E未成年者控除・障害者控除額の計算書
  相続人の中に未成年者・障害者がいる場合控除を受けることができますが、その適用を受ける場合は記入します。
F相次相続控除額の計算書
  相続開始前10年以内に被相続人が相続によって財産を取得し、相続税を納付している場合に記入します。
G外国税額控除額・納税猶予税額の計算書
  外国にある財産を相続した場合、外国税を支払っている場合、その分控除されますが、その適用を受ける場合に記入します。

■ 相続税の納付
相続税は申告後すぐに納付しなくてはなりません。また、相続税の納付は延納・物納(次のページで解説いたします。)の手続きをしない限り、全額を1回で納付しなければなりません。納付期限は申告期限と同じ、つまり相続開始から10ヶ月以内ということになります。
納付の方法および税金の納付がうまくいかなかった場合について解説します。

納付の方法
国庫金の納付書(銀行・郵便局・税務署のどこででも手に入ります。)に納税する相続人の住所、氏名、申告書提出先の税務署名を記載して、銀行、郵便局、または税務署で納付しましょう。

納付が遅れてしまった場合
相続開始から10ヶ月以内の期限を過ぎてしまうと延滞税としてその翌日から実際の納付した日までの間について、年14・6%(2ヶ月までは年7・3%)の割合で計算した延滞税がかかってきてしまいま。

申告漏れの場合
相続開始から10ヶ月経過すると相続税の申告をしても、しなくても、税務署から相続税が適正に申告されたか、および支払われたかが調査されます。
調査によって申告漏れなどが明らかになった場合には加算税がかかってしまうことがあります。
具体的には以下のような場合になります。
  
期限内に申告したが、申告漏れがあった場合
納付した者が税務署の調査が入る前に自ら修正の申告をすれば加算税はかかりませんが、調査後、修正申告があった場合は過少申告として10%の加算税がかかってしまいます。あまりに漏れが多かった場合には15%の加算税がかかる場合もあります。

期限が過ぎてしまっているが納税者が自主的に申告した場合
税務署の調査が入る前であれば5%の無申告加算税が、調査の後の場合は15%の無申告加算税がかかってしまいます。

財産を隠したり、事実を偽っていた場合
申告をしている場合には35%の重加算税が、申告をしていない場合には40%の重加算税がかかってしまいます。

■ 延納・物納について
相続はある日突然起こったということが多いと思います。突然起こった相続で多額の相続税を支払わなければならなくなってしまったという場合もあることでしょう。こういった多額の相続税を一度に支払えないという場合に延納・物納が認められます。
それぞれ解説します。
延納について
納税額を年3.6〜6.6%の利子税を支払う代わりに分割で支払っていく方法です
延納の分割は原則として5年、最高では20年の延納期間が認められます。
次の条件を満たせば延納することができます。
@ 相続税の納税額が10万円を超えている場合
A 相続税の納税額が50万円以上または延納期間が4年以上では、担保を提供することができる場合
B 延納申請書を相続税の納税期限までに税務署に提出することができた場合

延納の期間と利子税については相続財産の中に不動産が含まれているかどうか、担保として何を提供できたかによって異なってきます。
延納は分割納付という点で便利な方法ですが、容易に利用してしまうと利子税が長期間にわたって負担になってきてしまいます。
銀行などの金融機関で借り入れをして、一括で納付したほうが利率が低いという場合もありますので慎重に行いましょう。

物納について
上で述べた延納をもってしても納めることができない場合に、金銭の代わりに物で納める方法です。物納できる財産は何でもよいというものではなく優先順位があります。
以下の順番で物納の対象になります。

第1順位 国債、地方債、不動産、あるいは船舶
第2順位 第1順位の財産を用意できない場合は社債、株式などの有価証券
第3順位 第1、第2順位の財産を用意できない場合は動産

上記で物納する財産の優先順位を解説しましたが、実際に物納する財産はほとんどの場合が不動産になると思います。
なお、不動産を物納する場合には、その土地を事前に測量する必要があります。
物納する場合には物納申請書を相続開始から10ヶ月以内に税務署に提出しなければなりません。

さて、相続税の納付が終了しますと相続におけるすべての手続きは終了になります。
今までお付き合いをいただいて本当にありがとうございます。
お疲れさまでした。